第15回 対照言語行動学研究会

言語行動をあらためて考える第3回の試みとして、言語を言語行動と捉える視点に焦点を当てました。今回は日本語の「主体的表現」を中心に、他言語との対照も含めた実例に基づく検討を通し、言語行動学を考える場といたしました。前回に引き続き、参加申し込みが定員を超え、満員御礼となりました。全体討議ではフロアからたくさんの質疑やご意見があり、両講師を中心にたいへん活発な議論が行われました。ご参加ありがとうございました。

日時
2016年7月2日(土)午後13:00~17:30(懇親会:18:00~19:30)
会場
青山学院大学 総研ビル(第14号館)
内容
  1. 講演:氏家洋子 講師 [言語文化学・認識と言語] (北京日本学研究センター)

    「思い」を表し、また、理解する:時枝誠記「言語過程説」と言語行動学(約50分)要旨はこちら

    「思い」は概念的認識と意味作用を通して言語化され、連合作用により理解される。言語は話し手と聞き手という言語主体個人(社会内)の活動としてのみ成立。言語活動は生の営みであり、人間生活全体と交渉を持つ。
    『国語学原論 続篇』を検討し考える。

  2. 講演:井上 優 講師 [言語学・文法] (麗澤大学大学院) 

    「気持ちの言語化」の言語対照(約50分) 要旨はこちら

    発話に込められる話し手の気持ちは,さまざまな形で言語化される。この発表では,主に日本語と中国語を対照させ ながら,「どのような気持ちがどのような形で言語化されるかは,言語によって意外に異なる」ことを示す。

  3. 全体討議(約60分)
  4. ポスター発表 (約60分)
    1. 王 源(外交学院外語系)「日本人と中国人は場面の捉え方がどのように異なるか――「助言」に対する断り行動を中心に――
    2. 陸田利光(東京大学大学院博士課程)「単一メカニズムと二重メカニズム:名詞化接尾辞「さ」と「み」
    3. 呂 芳(関西学院大学)「「NPに分ける」に対応する中国語表現“分+C+NP”――格助詞「に」に対応する中国語の補語Cに注目して――
    4. 大江元貴(金沢大学)「日本語の間投助詞と事態の意味づけ
    5. 竹内直也(相模女子大学非常勤講師)「指示詞から接続詞への連続性――「それから」を例に――
    6. 陳 海涛(九州大学大学院博士課程)「中国語におけるフィラー“这个”の使用法に関する研究――日本語におけるフィラー「その(-)」と比較対照して――」 
    7. 許 明子(筑波大学)「韓国人日本語学習者の相手に対する親近感の表し方について――日本語母語話者との会話の分析から――
    8. グエン・ティ・ニューイー(大阪大学大学院博士課程)「ベトナム語と日本語の依頼会話における依頼者のストラテジー―― 被依頼者の「拒否」「保留」に対して――」。
    9. 施 信余(淡江大学)「日台遠隔接触場面における台湾人日本語学習者の調整行動――グループ討論の使用言語が言語行動に与える影響――
    10. 陳 燕(東京工業大学産官学連携研究員)・野原佳代子(東京工業大学教授)「評価シフトからみる日本語訳と中国語訳の特徴
    11. 禹旲穎(東京国際朝日学院/ミッドリーム日本語学校非常勤講師) 「日韓両言語の数表現をめぐって――「配分複数志向」と「集合複数志向」の観点から――
    12. 高橋さきの(お茶の水女子大学非常勤講師)「翻訳時の訳文への原文情報反映パターンについての予備的考察:mostの形容詞用法をめぐって
    13. 尹 智鉉(早稲田大学日本語教育研究センター)「謝罪会見における言語行為と発話解釈――あの謝罪会見はなぜ批判されたか――

研究会の開催にあたり、今年は以下のみなさまに補助員としてお手伝いいただきました。世話役一同より心より感謝申し上げます。
今回の補助員(氏名と所属):井口祐子・趙 麗(恵泉女学園大学人文学研究科M2)、陳 軍琴・薛 思思(北京日本学研究センター・言語コースM2)、加納麻衣子(元ノートルダム清心女子大学文学研究科D3)